CURRENT TREATMENT削らない治療

削らない治療とは

虫歯になったら歯を削るという処置が多いなか、当院では削らずに治療を施すことが可能です。いくら治療のためと言って削ったり・神経を抜いたりすると、歯は弱く脆くなってしまいます。そこで、歯を削らない・抜かない治療を行うため開発された虫歯治療法「カリソルブ」「MTAセメント」と「ドックスベストセメント」を提供しています。

カリソルブとは

歯科治療の先進国スウェーデンの大学で開発された「カリソルブ」は、歯を削らない虫歯の治療法です。薬剤を虫歯に施し、虫歯に侵された歯質が溶けて軟化したところを専用の器具を使って掻き出します。
使用する薬剤は、次亜塩素酸ナトリウムとアミノ酸などで構成された塗布しやすいジェルタイプのもの。日本では、2007年に厚生労働省に認可されていますので、安全面でも問題のない治療法といえます。

どんな虫歯でもカリソルブで治せる？

カリソルブで治療できるのは、C1～C２の比較的軽度な虫歯です。C1～C２とは虫歯の進行度を表す専門用語で、C1は歯の表面のエナメル質が侵されている虫歯で、C２はエナメル質のすぐ下の層である象牙質まで侵された虫歯です。
C3の虫歯が神経まで達した状態や、C4の神経が壊死する状態まで進行すると、神経にまで薬剤が影響してしまうリスクが高くなるためカリソリブで治療することができません。

カリソルブのメリット

カリソリブのメリットは、なんといっても歯を削らなくても虫歯治療ができることです。歯を削らなくてもいいので、ドリルの音や治療の痛みが怖い、歯科治療に苦手意識があるという方にとっても、心身に負担なく治療を受けられるようになりました。歯科治療に慣れていない小さいお子さんや、体力に自信のないご高齢の方、麻酔が合わない体質の方も安心し治療を受けられます。
また、健康な歯質を削りすぎることがないのも利点です。これまでは歯科治療用のドリルで削っていくと、虫歯に侵された歯質のみピンポイントで削り取ろうとしてもなかなか難しく、患部と一緒に健康な歯質まで余分に削り取ってしまいがちでした。
虫歯は一度発症すると再発しやすいため、再発を防ぐためには、多少削りすぎてでも虫歯の徹底除去を目指す必要があり、ある程度はやむを得ないともいえます。しかしカリソリブなら虫歯菌に侵された歯質のみが溶けて軟化するので、悪いところだけを掻き出すことができます。健康な歯質の損傷を防ぐことができるのは、大きなメリットといえます。

MTAセメントとは

「MTAセメント」は、歯の神経を抜かずに治療できる画期的な歯科材料です。虫歯が歯の神経まで達した場合、これまでは歯の神経を取り除く治療を行うしかありませんでした。そのまま放置していると、細菌が歯の根をつうじて全身を巡り、重篤な全身疾患につながるリスクが高いからです。それでは神経を抜いてしまえばいいと思うかもしれません。たしかにこれまではそういった治療法が中心でした。けれども歯は神経を除去すると栄養が行き届かなくなるため弱くなり、長持ちしなくなります。やがて自然に抜け落ちたり、硬いものを嚙んだ時に砕けてしまうといった、悲しい末路をたどることもあります。歯そのものの健康については、歯の神経を抜くことは決して最善の策とはいえないのです。

歯の神経を抜かないほうが良い理由

自分自身の天然の歯は1本でも多く残しておいて、自分の歯で噛んでものを食べられる方が高齢になってもQOL（クオリティ・オブ・ライフ～生活の質）に満足できる幸せな人生を送れますことがわかっています。そのためにも、本当は歯の神経は抜かず、歯を1本でも多く温存しておくほうが良いのです。それでも歯の神経まで達した虫歯治療では、歯の将来によくないとわかっていても、神経を抜かざるを得ませんでした。

MTAセメントの治療のメリット

MTAセメントが登場し、これまでの虫歯治療を大きく変えました。MTAセメントを使った治療を行うと、ほぼ100％に近い高確率で歯の神経を残した虫歯治療が可能になります。治療の方法ですが、まず歯の神経が入った歯髄をMTAセメントで封鎖することで殺菌され、封鎖以降は外から細菌が侵入しなくなります。そうすることで歯の神経を虫歯菌から守り、保存することができるのです。
歯の根は細く入り組んだ造りになっているため、非常に難易度の高い治療です。神経を取り除く治療を行う場合は、再発させないために徹底して虫歯菌の殺菌を行う必要があります。その点、MTAセメントは細菌がほとんど死滅する強いアルカリ性の成分です。非常に高い殺菌効果が期待できます。殺菌後は成分が中和されるので、身体に害がなくやさしいのも特長です。

ドックスベストセメント

ドックスベストセメントとは、歯を削らずに特殊な薬剤でむし歯を殺菌する治療方法です。アメリカの歯科関連団体であるADA(アメリカ歯科医師会)において「安全な薬剤」として許可を受けており、アメリカでは一般的に行われています。

ドックスベストセメントのメリット

●歯を削らずに済むため、自分の歯を残すことができる(神経を残せる可能性が高くなる)
●歯を削らずに済むため、治療時に痛みが起きにくい
●治療回数を減らすことができる

《注意点》
ドッグスベストセメントを行う上で留意したい点は、まれに詰めた薬剤が取れてしまうことがあることです。当院では治療を行ってから1年間は経過を観察するようにしています。また、ドッグベストセメントは健康保険が適用されない自費の治療になります。

ドックスベストセメントを行うケース

初期段階のむし歯に行う必要はなく、比較的に進行したむし歯に行うことが多いです。深いむし歯で痛みがあるときも神経を抜かずに済む可能性が高まります。また、既に神経を抜いてしまった歯には不要です。